「記憶力が弱くなったな」と感じたら、記憶と報酬、行動を振り返り、「記憶力を取り戻す」

年齢を重ねると「記憶力が弱くなった」「若い時のようにはいかなくなった」とおっしゃる方々が多くいらっしゃいます。
「記憶力が弱くなった」という言葉の裏側には何が隠されているのでしょうか?
そして、記憶力を取り戻すには、どのような行動が必要なのでしょうか?
なお、当記事では、認知症、うつ病、統合失調症などの病気よる記憶力低下については除外しています。
「記憶力」と「報酬」の関係
人間だけではなく動物も含め、何らかの行動に対して「報酬」があると、何らかの行動が持続し、「報酬」がなければ何らかの行動が無くなってしまいます。
若い時の記憶
若い時、学校で試験があり頑張って覚えた経験をお持ちだと思います。
試験ですから、結果として点数が出てきます。
「上手く記憶できて、試験結果が良かった」とき、「嬉しい」という感情が出てきます。すると「良い試験結果」が「報酬」となり、記憶する行動(記憶力)が強くなります。
一方、試験結果が悪いと、「諦め」「悲しい」の感情が出てきます。「諦め」「悲しい」の感情が出てくると、「試験結果」が「罰(報酬の反対)」となり、記憶する行動(記憶力)が弱くなります。
試験の結果が悪いのは、記憶力が弱いのではなく、「報酬」がなかったから記憶しようとしなかったのかもしれません。
年齢を重ねると「記憶」に対して「報酬」が減少する
年齢を重ねると、若い時のように試験を受ける機会が減ります。
また、仕事でも「記憶」しているのが当然ということになるので、記憶に対して「報酬」が無くなります。
報酬や報酬の頻度が減ると、記憶する行動が弱くなりますから、記憶力が低下していきます。
4つの枠+内外で記憶力の低下を考えてみる
ケン・ウィルバーのインテグラル理論でいわれている4つの枠、I,We,It,Its+内外で考えてみます。
「記憶力がない」と考えているのは、I枠の内側です。そして、「忘れてしまい、家に戻った」というのが、I枠の外側です。
「老化による記憶力の低下がある」という一般的な考えがWe枠の外側、「老化による記憶力低下が何を引き起こしているのか?」と多くの方が考えている答えがWe枠の内側です。
「老化による記憶力の低下が客観的にわかっている」と考えるのはIt枠の外側、「テストしてみたら、老化で記憶力が低下していた」というのがIt枠の内側です。
そして、「老化すると記憶力が低下するから、何回も伝える社会的なシステム」がIt’sの外側、システムの実行がIt’sの内側でしょう。
一番、報酬(刺激)があるポイントはどこ?
4つの枠の中で、報酬(刺激)があるポイントはどこでしょうか?
逆に、最も報酬(刺激)がないポイントはどこでしょうか?
1日でどのくらいの報酬(刺激)があるか、実際に数えてみましょう。
自発的に考えるのではなく、普段の生活で思いついたときや、周囲から言われた場面で数えます。
・I枠の内側「記憶力がない」と思ったとき、「その通りだ」と認識する場面の数。
・I枠の外側「忘れてしまい、家に戻った」回数。
・We枠の内側「老化による記憶力低下が何を引き起こしているのか?」を考えてしまい、肯定的な意見が返ってきた数。
・We枠の外側「老化による記憶力の低下がある」と思って、肯定するような出来事の数。
・It枠の内側「テストしてみたら、老化で記憶力が低下していた」を肯定する出来事の数。
・It枠の外側「老化による記憶力の低下が客観的にわかっている」と誰かが言っていたことを聞いた数。
・It’s枠の内側「老化すると記憶力が低下することを前提とした社会システム」が動いていると感じた数。
・It’s枠の外側「老化すると記憶力が低下するから、何度も繰り返し伝えられるシステム」に身を置いた数。
最も多い数だったパターンが、「記憶力を低下させている原因」です。
記憶力を取り戻すには
もし、あなたが記憶力の低下を食い止めたい、何とかしたいと思っていらっしゃるのなら、最も多いパターンから、「記憶力低下」の報酬を減らし、「記憶していた」ということに対しての報酬を多くしていきましょう。
報酬を減らすコツは、「記憶力低下に対して何もしないこと」。
そして、報酬を増やすコツは「記憶していたという事実に対して、自分の好きな食べ物を食べる。記憶していた事実があったら、1回につき100円貯金箱に入れて、溜まったら何か好きなものを購入する」です。
個人的には後半の1回につき100円貯金するが、おすすめです。